■鎌倉・江の島(スズキGSR250)

 

都心からほど近い鎌倉は、不思議とバイクのツーリングスポットとして紹介されることは少ないです。

 

その昔、鎌倉七口しか入り口がないと言われた自然の要害らしくアクセスが不便なせいか、はたまたバイクを停める場所がないからなのでしょうか…。でも、それらは古来鎌倉の姿を今に残している証拠…とも言えます。

 


化粧坂〜鎌倉七口のひとつ。源氏山公園内にあり、鎌倉七口の中でも行きやすい所です。

 


朝比奈切通し〜朝比奈IC近くですが、場所が分かりづらいので要注意。

 

その歴史や史跡は京都や奈良に匹敵し、国宝も国重文も数多くあるこの町を訪ねないのはもったいないです。確かに渋滞が多く車で回るのは大変ですが、小回りのきくバイクでならば、細い路地や坂道も気兼ねなく入って行けます。

 


円覚寺〜梵鐘と舎利殿が国宝。近くの建長寺も国宝多数あり(P600円 拝観料300円)

 

そんな古都鎌倉、実は、当初のイメージとはまた違った町でもあったのです。

 

1902年、藤沢〜鎌倉間開業。既に110余年もの歴史を持つ江ノ島電鉄、通称「江ノ電」。鎌倉、江ノ島、稲村ケ崎などを走るこの電車は、お洒落な車両と車窓から眺める風光明媚な景色に、地元のみならずそのファンは多いです。

 

 

お勧めの江ノ電の撮影スポットは鎌倉高校駅前。大きな三脚を持っていけば、意外と何本も電車が来るので、自分撮り用のシャッターチャンスは多いです。ただし、海岸線の渋滞や観光客の来訪増を考えると、やはり平日の早い時間に限ります。電車単体の撮影なら、極楽寺トンネルもお勧めです。

 

小さな運転士

 

その江の電には、テレビでも放映された、ひとつのドラマがあります。

 

1988年、難病を患っていた当時16才の少年。幼い頃に母を同じ病気で亡くし、会社員の父に男手一つで育てられました。しかし、彼の病状が悪化し、余命、僅かに。息子の、「好きな母を見舞う時に乗っていた江ノ電の運転手になりたい」という夢を叶えるべく、父はボランティア団体に掛け合います。

 

その話しを聞いた江の電の職員達は、彼の夢を叶えてあげるべく検討しますが、鉄道法の規定により夢に応えてあげられない。それでも職員達は、何か方法がないものかと法律を調べ、ついには検車区で監督者立ち会いならば、それが可能な事が分かりました。

 

当日、少年は新調した制服を着用し、彼の夢である江ノ電を運転することが出来ました。

 

その3日後、少年は天に召されました。

 

そして、その10年後の2008年。江ノ島電鉄は、“運転士になりたい”という夢を叶え亡くなった少年を正式に運転士に任ずる辞令書を、「ぜひ夢の続きで」と、少年の父に手渡しました。

 

また、少年の父の友人から江ノ電宛に寄贈された鉄道模型が江ノ島駅にて展示されています。江ノ電のHPでは、「彼はジオラマ上を走る江ノ電の運転手として、これからもご活躍されるでしょう」と綴られています。

 

ジオラマのボタンを1回押すと、ミニ江ノ電が1分20秒走るそうです。

 

そんなドラマを持つ江ノ電。そしてジオラマを走る少年に、会いに行ってみてはいかがでしょうか。

 

 


由比ガ浜より、江の島越しの富士山を望む。

 


由比ガ浜はサーファーも多いです。また、トンビも多いので立ち食いはしないこと。上空から狙われてケガをします。

 

古都鎌倉

 

「いい国作ろう、鎌倉幕府」
そんな語呂合せで覚えた鎌倉幕府の創設年。しかし近年、その解釈が変わって今は1185年、「いいはこ創ろう鎌倉幕府」になっているそうです。なんか、ピンとこない感じではありますが…。

 

驕る平家は久しからず。平家の専横政治に不満をもった武士達と呼応して挙兵した源頼朝は、かつて、父兄と住んだ鎌倉の地に御所を造営し、また、鶴岡八幡宮を移設して、鎌倉幕府の礎を創りました。その後、富士川の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦いなどで勝利し、平氏を滅ぼし、天下に覇を掲げました。

 


鶴岡八幡宮〜鎌倉と言えばココ。国重文多数あり(二輪Pなし 拝観無料)

 

しかし、実際に鎌倉幕府は約150年も続きましたが、源氏が治めたのは3代わずか約30年のみ。それ以降は、執権である北条氏が握ることになり、建長寺や円覚寺など鎌倉に現存する名刹の多くは北条氏による創建のものが多いです。ただし、その人材掌握、政治力によって乱立していた武家勢力を取りまとめた頼朝は、後の天下人徳川家康にも崇拝されるなど、その後の天下の動向にも影響を与えた人物であったことは間違いないです。

 

何にせよ、源頼朝が、当時、全盛を誇った平家を滅ぼし、この地に幕府を開設してから820年余。古都鎌倉は今でも当時の様相を随所に残しています。

 


光明寺〜国道に近いですが、市街地から来た方が場所が分かりやすいです(P無料 拝観無料)

 

 

活況を呈する古刹名刹

 

箱根や三浦半島、よもすれば、江ノ島にバイクで行く時も、寄ることがあまりない鎌倉。どうも、渋滞と細い道、というイメージがありツーリングに適さないように思われていますが、都心に近くて、これほどの歴史と趣のある場所に行かないのは、正直、もったいなですい。

 

確かに、古都らしく細い道が多いですが、逆にそれがメリットとなって、車では行きづらい場所もバイクなら気軽に門前まで行けますし、取り回しのいいバイクならば気兼ねなく何処にでも入って行けるので楽しいです。

 

八幡宮前や北鎌倉の慢性的な渋滞も、線路向かいの御成通りや梶原の住宅街を抜けることで、容易に回避することが出来ますし、何しろ、僅か周囲2〜3kmの範囲のエリアなので、どうにでも行き方はありますし、逆に、バイクで回っていると、いろいろな景色に出会えて面白いです。但し、裏道は住宅街も多いのでゆっくり走って住民の方々にご迷惑がかからないようご注意を。

 


長谷寺〜736年創建の古刹。四季の花と絶景を望めます(二輪P無料 拝観料300円)

 


佐助稲荷神社〜出世、縁結びを願うならココ。道狭し(Pなし 拝観無料)

 

駐車場が無かったり、高かったりする場合もありますが、例えば、駐車場の無い銭洗弁天には少し上った所にある源氏山公園に停めて、公園と一緒にゆっくり歩いて見て回ればいいですし、北鎌倉のお寺を回るなら、比較的リーズナブルな東慶寺に停めて円覚寺などを参拝するという方法もあります。事前に各お寺に問い合わせをすると、いろいろと教えてくれます。

 


銭洗弁財天〜源氏山公園にバイクを置いて歩いて来るのが○(Pなし 拝観無料)

 


源氏山公園〜源頼朝像あり。市役所通りからの入口が分かりづらいので注意。

 


源頼朝のお墓〜石塔は江戸時代に建立。バイクを停めて、歩いて参拝可です。

 

とは言え、驚いたのは遠足で着ている小中学生や、観光客、女性客の、その数の多さ。特に名刹付近は人やバスが多く、バイクでの走行も気を使うほど。ちょっとした、プチバブルの様相を呈しているような賑わいでした。もしそういうのが苦手でしたら、中心部から少し離れた光明寺や源頼朝の墓などに行けば、古都らしい穏やかな佇まいを感じることが出来ます。

 

首都圏からなら、高速直結で横浜横須賀道路・朝比奈ICからすぐ。やはり、行くなら平日がお勧めです。

 

自家挽工房 鎌倉 梵蔵(鎌倉市材木座3-17-33)11:30〜15:00 18:00〜21:00 木曜定休〜3年連続でミシュランの星を獲得した蕎麦店。十割せいろ\900 Pあり。

 

鳩サブレー〜鎌倉豊島屋の銘菓。お土産に是非(5枚入り \525)

 

由比ガ浜

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