■三浦半島vs房総半島(スズキ GSR250)

首都圏の日帰りツーリングエリアとして人気の高い三浦半島と房総半島。古の昔には、相模国(三浦半島)の北条氏と安房国の里見氏が、各々その覇権を争った場所でもあり、東京湾を挟んで今なお、その確執が続いているようにも思えてしまいます。

 

現在、東京湾フェリーで結ばれている両半島ですが、どちらがツーリングポイントとして勝っているのか、その覇者を調べに、まずは江の島や富士山が見える三浦半島の披露山公園からスタート。国道134号線〜三崎〜南房総〜海ほたるとぷらっとツーリングに行ってみました。

 


長者ヶ崎〜海に突き出た岬があり、好天時には富士山や相模湾を一望できます。国道134号線沿いに有料(平日は無料)駐車場あり。

 

右手に富士山や江の島が浮かぶ相模湾の景観を楽しみながら国道134号線を走っていると、逗子、葉山、佐島まので、マリーナで有名なブランドの地名が次々と現れてきます。さすが、国内随一のブランド半島。国道沿線には横文字系のカフェや雑貨屋さんが点在していて、そのおしゃれ感にヘルメットの中でサザンの歌を鼻歌交じりに歌いながら気分も盛り上がり、走っていても飽きません。但し、海沿いの一本道のため、渋滞は要覚悟で。距離のわりに移動時間はかかります。

 


立石公園〜高さ12mの巨岩(立石)を中心に広がる絶景ポイント。夕陽の時間が特にお勧めです。国道134号線沿いで、無料駐車場あり。

 

三崎に入ると、各所で見られる「まぐろ」の看板とともに急にローカル色が強くなり、ツーリング感が高まってきます。周囲には、油壷や城ヶ島などの観光ポイントもありますが、限られた時間の中では、そちらに立ち寄るより海沿いの県道215号線を走って久里浜に向かう方がお勧めです。風光明媚な宮川港や宮川公園、剣崎灯台などがある半島随一のツーリングスポットで、気分爽快なシーサイドランを楽しめます。

 


東京湾フェリー乗り場そばにあるペリー公園前の海岸。プチ南国感を味わえます。

 


三浦半島の久里浜からフェリーに乗船。房総半島の浜金谷へと向かいます。

 

◇東京湾フェリー
神奈川県久里浜と千葉県浜金谷を結ぶカーフェリー。だいたい一時間毎ごとに出航しています。二輪車は約30台の乗船が可能ですが、先着順での乗船となります。約40分ほどの船旅ですが、甲板で間近にかもめが飛んでいるのを見れたり、東京湾を航行する大型船や自衛艦などが眺められたりと、旅気分を満喫できます。冷暖房完備の船内ではソファーに座りながら仲間と談笑したり、しばしの休息を取ることが可能です。

 

[運賃(片道料金)]
750cc以上 2,310円
750cc未満 1,940円
125cc未満 1,210円
※上記料金については運転者1名の運賃を含む。他の同乗者については、旅客運賃720円(大人)が必要。

 

東京湾フェリーで房総半島に入るとローカルな雰囲気がより一層高まり、ツーリング気分もますます高騰してきます。東京湾を挟んでのこの変化に驚きつつも、逆にそれを楽しみながら大型タンカーや漁船が浮かぶ東京湾を右手に眺めつつ、海沿いの国道127号線を南下します。

 

富士山が遠望できる相模湾に比べると、やはり眺望的には若干物足りなく感じるものの、道沿いに点在する漁港の風景を眺めながら走ると、鼻歌こそ出ないものの三浦半島西岸の走行時とはまた違う”ツーリングをしてるな〜”感がいいです。

 

好天時なら、フェリー発着所の浜金谷からすぐの場所にある鋸山 日本寺はお勧めの立ち寄りスポットです。全体的にこじんまり感が高い三浦半島〜南房総ツーリングにおいて、唯一スケール感の大きい景観を望むことが出来ます。但し、山頂の駐車場へと続く有料道路は二輪車通行禁止のため、麓の無料駐車場にバイクを停めて、有料のロープウェイを使わなければなりません。

 

鋸山 日本寺〜約1300年前に開山した古刹。突き出た岸壁から下がのぞける有名な「地獄のぞき」のほか、大仏様や岸壁に彫刻された百尺観音など見どころ満載です(拝観料600円)。

 

その後、館山に向かうには、館山自動車道を使う方が時間短縮のためにも賢明です。時間があれば海沿いの道を走るのもいいですが、通行量は多くて予想以上に移動に時間を費やします。そして、三浦半島感覚で舐めていましたが、里見八犬伝で有名な安房の国は広い!です(浜金谷〜洲崎は約30kmもあります)。

 

館山からは、やはり人気の房総フラワーラインを走りたいです。道の両側に延々と花が咲き並び、右手には太平洋を眺めながら走る爽快感はまさに南房総ツーリングのハイライト。トロピカルリゾート地っぽい「道の駅 南房パラダイス」も、是非立ち寄ってみたいところです。

 


野島埼灯台〜明治2年に建てられた日本最初の洋式八灯台のひとつ。日本の灯台50選にも選ばれていて国の登録有形文化財です。入館料150円。

 

◇マグロとクジラ
〜同じ赤身ながら別物の食感〜
ツーリングを彩る「グルメ」。海に面する三浦半島、そして房総半島と、ともに海産物は豊富ですが、特にお勧めは、三浦のまぐろと和田町のくじら。神奈川県のマグロ漁の基地である三崎港や、その周囲にはリーズナブルにまぐろを食べられるお店が多くありますので、事前にネットで候補をいくつか決めてから行く方が○。ただし、開店時間が11時くらいからのお店が多いのと、人気店は海外からの観光客などで平日でも並ぶことがありますので要注意です。また、日本国内に5つある捕鯨基地のひとつ、千葉県の和田町やその周辺では今や希少となったくじらの肉を食すことが出来ます。ただし、こちらは三崎と違ってお店が少ないことと、営業時間や定休日がまちまちなため、やはりネット等で事前に確認してから行った方がいいです。せっかくなら、くじら料理専門店を訪ねてみたいですが、上記の「道の駅 WA・O!」内の食事処は不定休ながら、ずっと開いていて入りやすいのでお勧めです。店内にはくじら関連のお土産も充実しています。まぐろとくじら、同じ赤身ながら全く違う食感ですので、食べ比べも楽しいです!

 



日鉢まぐろと湘南名物の釜揚げしらすが乗った黄金コンビ「釜揚げしらすまぐろ丼(1,200円)」(※画像)ほか、大トロ、中トロなどのマグロ満載の「活きイキ刺身定食(1,620円)」、限定「中落ち丼(972円)」などが人気の三崎「まぐろ定食 七兵衛丸」。

 



全長26mもの、地球最大の動物シロナガスクジラの巨大骨格標本が屋外展示されている「道の駅 WA「・O!」内の食事処では、くじら刺身(1,200円)」(※画像)ほか、いろいろな味わいを楽しめる「くじら食べ比べ定食(950円)」や、昔懐かしの限定「くじら給食(600円)」など、くじら料理が各種あります。

 

三浦半島vs房総半島、その対決はそれぞれいいところがあり、「おしゃれにゆっくり、気軽にツーリングする」三浦半島と、「がっつりとツーリングしている感を楽しむ」房総半島ということで、比べることのできない各々の半島ならではの風情があり、あえて勝負をつけるなら「引き分け」ということになりました。

 

三浦半島と房総半島の両半島を走って感じたことは、それぞれの半島の雰囲気が全く異なっていて、比較ができないということ。また、フェリーに乗るだけで、この全く異なった雰囲気のそのぞれの地域を1日で回って楽しめるという発見もありました。まだまだ両半島にはツーリングで楽しめる場所がたくさんあります。

 

ちなみにペリーが久里浜ではなく、浜金谷に来航いていたら、歴史、いや、三浦半島と房総半島の雰囲気は、今とは全く変わっていた…かもしれませんね。

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